7つの習慣 最優先事項(その2)
「超越的ビジョンの力」は、心に染みついている脚本(道筋・動機づけ・先入観など)よりもはるかに強力であり、そのビジョンを達成する過程で、そうした考えを服従させ、覆い隠してしまう。
個人から生まれたビジョンは、やがて個人を超越し「共有のビジョン」となる。そのエネルギーは、人々に、「非常に多くの時間とエネルギーを消費し、生活の質を損なう否定的な作用」を払拭する力を与えてくれる。
強力なミッション・ステートメントの特徴
(1)心の最深かつ最良のものを表している。内面生活としっかり結びついている。
(2)独自の才能を発揮できるようになっている。
(3)自らの利害関係を超えたものになっている。
(4)人間の4つの基本的な(肉体的、社会・情緒的、知的、精神的)ニーズと独特な能力(自覚・良心・自由意志・想像力)のすべてに関わっている。
(5)質の高い生活を生み出す原則に基づいている。目的も手段も「真北の原則」に基づいている。
(6)「ビジョン」と「原則に基づいた価値観」の双方と関わっている。・・・強力なミッション・ステートメントには性格の要素(どんな人になりたいか)と能力の要素(どんなことを成しとげたいか)が必要である。
(7)人生の重要な役割のすべてに関わっている。「個人」「家族」「仕事」「地域社会」のそれぞれの役割のバランスが取れるようになっている。
(8)他人に印象づけるためではなく、自分を奮い立たせるために書かれている。心の底から鼓舞される内容になっている。
強力なミッション・ステートメントを作り、それに従って生きれば、時間の使い方が劇的に変わる。時間管理について考えるとき、方向性よりもスピードについて心配するのはバカげている。数分の努力を惜しんで、何年という長い年月を無駄にするようなものである。
ビジョンは、人生のすべてを動かす基本的な力である。それは、自分にしかできないことを教えてくれるものである。それは、重要事項を優先する能力(時計よりも羅針盤を優先し、スケジュールや「もの」よりも「人」を優先する能力)を与えてくれる。
そして、より大きな価値観を持って、生き、愛し、学んでいくうちに、自分が残せる最も重要な遺産とは「ビジョン」であることが分かる。子供たちが自分自身のことをどう思い、どのような夢を描くかは、私たちみんなの生活の質に多大な影響を及ぼすのである。
「自分の時間と才能を他人と惜しみなく分かち合う」
責任から逃れることはできない。私たちが行うことはいずれにせよ周囲に影響が及ぶのである。自分の人生は自分に責任がある。自分の持っているもの(お金・所有物・才能・時間)で何をしようとも、後世に生きる人々に遺産を残すことになる。私たちは、自分の脚本(先入観)がどんなものであれ、自分独自の能力を使い、自分が望んでいる責任行動を選ぶことができる。次の世代に、借金、資源の枯渇、幻想、自己中心的な考え方、虐待といったものを残すべきではない。健全な環境、人々に愛されてきた物、責任感を大切にする考え方、原則中心の価値観・貢献のためのビジョンなどを遺産として残すことができる。そうすることによって、現在だけでなく将来の生活の質も高めることができる。
「性格を鍛えること」は「体を鍛えること」に似ている。試練が訪れたとき、もし力がなければ、どんなに取り繕っても力がないことをごまかすことはできない。大胆な目標を設定するにはそれに応じた力が必要である。慢性的な問題に、応急処置をするのではなく真っ向から取り組むには、それなりの力が必要である。みんなが反対しているのに自分の信念を貫くにも、それなりの力が必要である。
私たちは、目標を設定するために「想像力」を使い、それを実行するために「自由意志」を使うのである。
「想像力」と「自由意志」には驚異的な力がある。「自由意志」の力によって決断力が持て、「想像力」の力によって意識が変わるのである。しかし、それは私たちが持つ力のほんの一部にすぎない。
私たちは、目標を設定するとき、他の二つの能力を無視してしまいがちである。
・「良心」とは---目標と、ミッション・原則・ニーズとを深く結びつけているものである。
・「自覚」とは---自分の能力と「信頼口座」とのバランスを的確にとらえているものである。
自分に負けそうになったとき、持続力を与えてくれるのは「目的意識(なぜ)」なのである。心の奥のより深い「イエス」が燃えていれば、諦めの気持ちに対して「ノー」と言えるのだ。
「コントロール」というパラダイムで見るか「リリース」というパラダイムで見るかは、他人を見る見方を反映していることが多い。もし「コントロール」の見方をすれば、何かを成しとげるには自分たちを厳しく管理しなければならないと思うだろう。もし「リリース」の見方をすれば、リーダーシップとしての主な仕事は、内的な能力を開放するのに最適な状況を作り出すことだと思うだろう。目標設定の際、「頑張り通す」「厳しく鍛える」「どんなことをしても実行する」という考え方の「自由意志」に焦点が合わせられていれば、その考え方は、基本的なパラダイムが「コントロール」であることを物語っている。
多くの企業は、あまりに経済的次元や肉体的次元に焦点を合わせすぎているため、めったに深い動機を引き出すことはない。企業が、社会的ニーズ・知的ニーズ・精神的ニーズを認識したり、取り組んだりすることはない。したがって、従業員が心の中で感じていること(愛するためのニーズ、学ぶためのニーズ、崇高な目的のために生きるニーズ)と企業側の考えとが結びつくことはない。しかし、従業員の求めているものこそがエネルギー・創造性・忠誠心の源となっていくのである。
正しいことを正しい理由のもとに、正しい方法で行うことが、質の高い生活を送るための秘訣である。それは、ビジョンとミッションと「真北の原則」とを一致させることのできる、鍛えられた「良心」を通してのみ実行可能なことである。
誠実さとは、どんなことがあっても目標にしがみつくことではない。それは、選択の瞬間にミッションに基づいた行動をとることである。
「原則に基づいた目標」を設定するには、人間の持つ四つの独特な能力すべてを相乗効果的に使うことが必要となる。
・良心を通して、自分と「ビジョンが発するエネルギー」「ミッション」「原則」とを結びつける。
・創造力を用いて、目標を達成すための相乗効果的・創造的な方法をイメージする。
・自覚によって、現実的な目標を設定する。
・自由意志を用いて、意義のある選択をし、それを実行に移す。約束したことは誠実さをもって必ず実行する。
効果的な「週単位の目標」の五つの特徴
(1)良心に従っている
(2)第二領域に含まれる事柄が多い
(3)人間として基本的なニーズと能力を反映している
(4)「集中の輪」の中にある---「集中の輪」とは、関心があり、影響を及ぼすことができ、自分のミッションに合致している事柄のことである。
(5)「決意」と「専念」のどちらなのかがはっきりしている
第二領域時間管理とは、スケジュールに優先順位をつけることではなく、優先課題をスケジュールに入れることである。時間帯のすべてをスケジュールで満たすことではなく、「大きな石(優先事項)」を先に入れ、それから必要に応じて「砂利」や「砂」や「水」を入れることである。
容器をいっぱいに満たすことが目的ではない。目的は、まず最初に「大きな石」を入れ、あとで良心に従って変更することもできるように少し隙間を空けておくことである。
どの週も、どの日も、どの瞬間も、未知の領域であり、すでに過ぎ去った時間ではない。私たちは、落下傘で未知の領域に降下していくのである。自分が作った道路地図は役には立つものの、効果的に車を運転できるかどうかはほとんど自分自身の羅針盤にかかっており、いかなるときにも「真北」に合わせることを可能にする四つの能力が試される。だから、第二領域時間管理の目的は、「選択の瞬間に誠実になれる力を身につけること」なのである。そうすれば、どんなに寄り道をしようが、新たにどんな道が造られようが、自分の羅針盤を頼りに自分の進むべき道が見えてくる。
「私たち強制収容所に入れられていた者は、最後のパンを人に譲って、他人を慰めながら歩き回っていた男たちのことを覚えています。そのような人たちはごく少数でしたが、それでも、そのような人がいるということは、『人間には奪うことのできないものが一つある』という十分な証拠になります。その『奪うことのできない唯一のもの』とは、人間の持つ自主性(ある状況に置かれたとき、自分独自の態度を選択する自由)です。
選択の自由は常にあるのです。毎日、毎時間、選択の機会が存在しています。あなたの自主性(心の自由)を奪うような高圧的な力が立ちはだかったとしても、それに屈するか屈しないかはすべてあなたの選択になるのです。もし屈してしまえば、あなたはもう周囲の状況に左右される人間になってしまうのです。」(ビクター・フランクル)
第二領域時間管理の重要な目的は、物事に対して反応的(被害者意識を持ち、感情的)にならず、誠実に行動する力を高めることである。そのために私たちは、個人のミッション・ステートメントを作ったり、週間計画を立てることによって実践していくのだ。計画を立てるとき、私たちは、原則・ニーズ・能力に基づき主体性をもって決定するためにも、反応的になってはならない。
私たちは、毎日の出来事、瞬間瞬間の出来事に対して、刺激と反応の間のスペースで立ち止まることにより、誠実に実行する能力を高めることができる。自分に対して素直な気持ちで、(1)意図をもって尋ね、(2)言い訳をせずに聴き、(3)勇気をもって行動する、という人間の独特の能力を使えば、誠実さが生まれてくるのだ。


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