7つの習慣 最優先事項
スティーブン・R・コヴィー
A・ロジャー・メリル
レベッカ・R・メリル
宮崎伸治/訳
キングベアー出版(2000)
「7つの習慣」のコヴィーの2作目です。「7つの習慣」のうちの「第三の習慣(重要事項を優先する)」を掘り下げたものです。テクニックではなく「原則」に則った考え方は、現代のほとんどのビジネス書が1-2年で消えていくのに対し、10年、20年と読み継がれるであろうと確信します。まだ全部は読んでいないのですが、「農場の法則」には特に共感しました。
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従来の時間管理は、「物事を効率的に行っていれば、いずれ人生をコントロールできるようになる。そして、コントロールできるようになればなるほど、安定感と充実感が得られる」というものでした。
私たちはこの意見に賛同できません。
何もかもコントロールできる能力を身につけて幸せになろうとしても無駄なことです。自分の行動を選択することはコントロールできても、自分の行動から生じる結果は、自分ではコントロールできません。なぜなら、それをコントロールするのは「原則」だからです。
自分の人生をコントロールするのは自分ではなく、「原則」なのです。
本書では、従来とはかなり違った時間管理法を紹介します。それは原則中心のアプローチであり、従来の「より速く」「より懸命に」「より機敏に」「より多く」という方法を超えるものです。この方法は、あなたに新しい時計ではなく、羅針盤を与えます。なぜなら、いかに速くやるかよりも、何をどうするかの方向性の方が大切だからです。
自分がどのようにして重要事項を優先しようとしているかは、自分が二つの強力なツール(時計と羅針盤)をどのように使っているかを考えてみればわかる。
「時計」とは、時間をどのように使い、管理するかを表す「約束・予約・スケジュール・目標・活動」のことである。「羅針盤」とは、自分の人生をどう生きていくかといったことを表す「ビジョン・価値観・原則・ミッション・良心・方向性」のことである。
時計と羅針盤の間にギャップがあること(自分がやっていることが、自分の重要事項に役立っていないこと)を強く感じた時に葛藤は生じる。
皆いつも忙しくしていたいのである。忙しいほど価値のある人間であるという考え方が当たり前となり、忙しいことは今や一種のステイタスとなっている。忙しくないことに恥ずかしさを感じ、誰もが忙しさを求め、忙しくすることで安心感を得ているのである。忙しさは心の防衛手段でもあるのだ。またそれは、重要事項を実行できない格好の言い訳にもなっている。
「緊急度」そのものが問題なのではない。問題なのは、「重要度」に代わって「緊急度」が生活を支配する要因になることであり、緊急なことをすることが「重要事項」になってしまうことである。
「私は、難しくなってしまった問題には手を触れません。難しくなる前の簡単なことに取り組むのです。」(オリバー・ウェンデル・ホームズ)
人間としての「四つのニーズ」の満たし方
ニーズの本質は、「生きること、愛すること、学ぶこと、貢献すること」という言葉で表すことができる。生きるニーズとは、肉体的ニーズ(衣食住・お金・健康など)である。愛するニーズとは、他人と接し、帰属し、愛し愛されるための社会・情緒的ニーズである。学ぶニーズとは、成長したいという知的ニーズである。貢献するニーズとは、意義を持ち、目的を持ち、社会や人のために役に立ちたいという精神的ニーズである。
マネジメントは問題志向(問題のあるものや人自体を重視する考え方)だが、リーダーシップは機会志向(問題が何と関連しているのか、その結びつきの機会を重視する考え方)である。
現代心理学の父の一人、アブラハム・マズローは「欲求の階層」を考え出し、人間の最も高度な欲求を「自己実現」とした。しかし彼は後年、理論を改め、最も高度な欲求は「自己実現」ではなく、「自己超越」(自己よりも高次の目的のために生きること)であるとした。
「原則」の力は、時代を超えた普遍的な真実である。もし、原則を理解し、原則に基づいた人生を歩めば、どこにでも応用できるだろう。方法ではなく、「原則」を子供に教えれば(あるいは方法を支えている原則を教えれば)、その子は将来どんな問題が生じても対処できるようになる。方法だけを理解することは、その場の要求(難題)に対応することだが、原則を理解することは、その場の要求(難題)により効果的に対応するだけでなく、将来起こりうる何千もの難題をも対処可能にさせてくれるのである。
何がこの世を支配しているかを理解するには、「農場の法則」を考えてみればよい。農場においては、「自然の法則」が農作業と収穫を支配していることが容易に理解できる。だが、企業においては、プロセスを飛ばしたり、システムをごまかしたりしても成功することがある。そして、目的さえ達成すればそうしたやり方でもいいのだ、と思わせることが多々ある。
例えば、学生時代に「一夜漬け」の勉強をしたことはないだろうか。ふだんは勉強せず、試験の前日に徹夜で知識を詰め込もうとしたことはないだろうか。
農場で「一夜漬け」ができるだろうか。春に田植えをせず、夏の間は放っておいて、秋にすべてのこと(土を掘り起こし、種を蒔き、水をやり、除草することなど)を一夜ですませることができるだろうか。
農場のような「大自然のシステム」には「一夜漬け」は通用しない。そこに「社会システム」と「大自然のシステム」の大きな違いがある。「社会システム」は価値観に基づいているが、「大自然のシステム」は原則に基づいている。短期的には、「社会のシステム」では「一夜漬け」が通用しそうに思える。応急処置やテクニックで成功を収めることができそうに思える。
しかし、長い目で見れば、「農場の法則」が人生のすべてを支配するのである。どれだけ多くの人が、学生時代に「一夜漬け」をしなければよかったと後悔しているだろうか。学位だけは取っても、それだけの教養が身についていない人は、いずれ「学校のシステム」における成功と、本当の自己啓発(分析力・創造力・想像力・伝達能力・表現能力・問題解決能力を身につけること)とは違う、ということに気づくだろう。
刺激と反応のスペースに存在する自覚・良心・自由意志・想像力という四つの独特な能力が、人間としての自主性(選択肢、反応し、変化する力)を作りだす。これらの能力が羅針盤を形成するのである。
学び、聴き、反応することで「良心」を養う
「良心に従わないでいると、良心とは何かが分からなくなる」(C・S・ルイス)
約束を守ることで「自由意志」を育てる
イメージ化によって「想像力」を開発する


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